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19世紀のイギリスはまさに「博物学」の全盛時代でした。

1804年生まれで、剥製師として名をなしたジョン・グールドはこの大きなうねりの中で、当時発明されて間がない石版画の技法をいち早く取り入れ、妻エリザベスにそれを習得させ、そこに1枚1枚丁寧に手で彩色した「鳥類図譜」の制作に取りかかりました。
その最初に刊行されたのが『ヒマラヤ山脈百鳥類図譜』(1832年)です。

ジョン・グールドが制作した鳥類図譜は以下の通りです。
・ヒマラヤ山脈百鳥類図譜(全1巻 80点)
・ヨーロッパ鳥類図譜(全5巻 448点)
・オオハシ科鳥類図譜(全1巻 34点)
・キヌバネドリ科鳥類図譜(全1巻 36点)
・オーストラリア鳥類図譜(全8巻 681点)
・アメリカ産ウズラ類鳥類図譜(全1巻 32点)
・ハチドリ科鳥類図譜(全6巻 428点)
・アジア鳥類図譜(全7巻 520点)
・イギリス鳥類図譜(全5巻 367点)
・ニューギニア及びパプア諸島鳥類図譜(全5巻 320点)

ジョン・グールドは 「鳥類図譜」制作の当初から、大きな鳥も実物大で描写することを目指し、インペリアル・フォリオ判(約56×39cm)というサイズを選びました。
そのため各巻の重量も相当なもので、全40巻の重さは500kgにもなります。

ジョン・グールドはエドワード・リアなどの優れた画家や、当代一流と言われた石版師ハルマンデルの石版工房を仲間に加えて工房としての組織を固め、その一方で予約販売の方法で貴族など当時の上流階級に販路を広げて行きました。

購入した人達は、少しずつ分納される鳥類図譜が1冊分まとまると、それを行きつけの製本師に持ちこみ、思い思いの趣向を凝らして美しく装丁させました。

そのため今回収集事業を完了した「玉川大学本」は、全40巻39冊(合本1)の装丁がそれぞれ異なるという贅沢な特色を持ったものとなっています。

精密に描かれた2946図に及ぶ鳥の中には既に絶滅したものも、絶滅が危惧されている種もあり、鳥たちの習性の描写と共に学問的にも貴重なものになっています。またこの鳥たちとともに描かれている植物も同じように、美しさばかりでなく植物学上でも貴重です。
更に絵画としての構成もすばらしく、19世紀のイギリスのボタニカルアートとしても価値の高いものとされています。